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【 第2回 】法令の条・項・号は住所表示の丁目・番・号に当たる
2021年 5月19日(河野慶三コラム:通算32回)

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 法令がどのような構造になっているかを理解するために、現行の労働安全衛生法をみてみましょう。この法律は、12の「章」(この部分を本則という)と附則で構成されています。各章にはその内容を示す見出しがついています。たとえば、第1章の見出しは「総則」、第12章は「罰則」です(労働安全衛生法は罰則付きの法律です)。
また、第7章の次に「第7章の2」がありますが、これは、第7章の2の章が法律制定後に行われた改正で追加されたことを示しています。なお、章の下には第5章と第9章のように、「節」がおかれる場合があります。これが法律の骨格です。

労働安全衛生法

第1章 総則(第1条−第5条)
第2章 労働災害防止計画(第6条−第9条)
第3章 安全衛生管理体制(第10条−第19条の3)
第4章 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置(第20条−第36条)
第5章 機械等及並びに危険物及び有害物に関する規制
 第1節 機械等に関する規制(第37条−第54条の6)
 第2節 危険物及び有害物に関する規制(第55条−第58条)
第6章 労働者の就業に当たっての措置(第59条−第63条)
第7章 健康の保持増進のための措置(第64条−第71条)
第7章の2 快適な職場環境の形成のための措置(第71条の2−第71条の4)
第8章 免許等(第72条−第77条)
第9章 事業場の安全又は衛生に関する改善措置等
 第1節 特別安全衛生改善計画及び安全衛生改善計画(第78条−第80条)
 第2節 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント(第81条−第87条)
第10章 監督等(第88条−第100条)
第11章 雑則(第101条−第115条の2)
第12章 罰則(第115条の3−第123条)
附則

  法律の具体的な内容は、第1条から始まる条文で定められます。「条」のナンバーは、法律内ではとおしになっていて、労働安全衛生法は第123条まであります。「第19条の3」のように、条のつぎにアラビア数字がついている条文は、章の場合と同じで、法律改正で追加された条文です。

 つぎに条文の実例として、労働安全衛生法第10条の全文を示します。

 多くの法律では、条文の前に、その条文が規定する内容の見出しがついています。第10条の場合は、「総括安全衛生管理者」です。これで、第10条は総括安全衛生管理者についての規定であることがわかります。第10条には、アラビア数字で示された1〜3の3つの規定があります。これを「項」とよびます。第1項の「1」は省略され書かれていません。また、第1項には漢数字で書かれた「一」から「五」の5つの規定があります。これを「号」と言います。

 このように、法令の規定は、「条・項・号」で示されます。たとえば、労働安全衛生法第10条第1項第3号といえば、総括安全衛生管理者が行わなければならない「健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること」が特定されます。これはちょうど、私たちの住所を特定するために用いられている住居表示の「丁目・番・号」と同じです。条文を引用する際に便利です。(もちろん、条文によっては、1項のみのものもあれば、号のついていないものもあります)。

(総括安全衛生管理者)

第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
  労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
  労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
  健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
  労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
  前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの。
 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

次回は、労働契約と労働契約法の話です。

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このコラムの執筆者プロフィール

河野慶三先生

河野 慶三 氏(新横浜ウエルネスセンター所長)

名古屋大学第一内科にて、神経内科・心身医学について臨床研究。
厚生省・労働省技官として各種施策に携わる。
産業医科大学、自治医科大学助教授など歴任。
富士ゼロックスにて17年間にわたり産業医活動。
河野慶三産業医事務所設立。
日本産業カウンセラー協会会長歴任。
平成29年より新横浜ウエルネスセンター所長に就任。